フリーランス・個人事業主が AI に推薦されるには:自分が誰で、何をどこで誰に提供し、どんな実績があるかを書く
執筆:TriloAI 編集チーム公開:
フリーランスや個人事業主が AI に推薦されるには、まず次のことを AI が調べられる状態にします。誰なのか、何をしているのか、どこで仕事を受けているのか(オンラインのみか)、どんなお客様に向いているのか、どんな実績があるのか。これを文章にして、自分のサイトと業界でよく使われるサービスのプロフィールに載せ、できれば第三者のページでも触れてもらいます。誰が推薦されるかを保証できる人はいません。ただ、情報が散らばっていたり写真しかなかったりすると、AI が回答に使える材料はほとんど残りません。
AI の回答に名前が挙がるよう整えるこの取り組みは GEO(生成エンジン最適化)と呼ばれ、日本では LLMO 対策・AIO 対策とも言われます。この記事は、一人で仕事を受けているデザイナー、カメラマン、コンサルタント、パーソナルトレーナー、家庭教師、フリーランスのエンジニアに向けて書きました。どの手順もお金はかからず、かかるのは時間だけです。文中の例文はすべて架空です。ご自身の実際の情報に置き換えてください。
AI に推薦されるには、誰が何をどこでしているかが伝わる必要があります
お客様が AI に「福岡で少人数の結婚式を撮ってくれるカメラマンはいますか」と聞いたとします。この質問は、小さな問いに分けられます。この人は誰か、何を撮るのか、福岡で受けているのか、少人数の式に向いているのか、評判はどうか。サイトやプロフィールに書いてある部分が答えに使える材料になるので、それぞれの問いをどこに書けばよいかを下の表に整理しました。
| AI が知りたいこと | 書く場所 | 例文(架空) |
|---|---|---|
| 誰か | プロフィールページの最初の段落、各サービスのプロフィール欄 | 福岡在住のウェディングフォトグラファーです。一人で活動していて、少人数の結婚式と挙式のみの撮影を専門にしています。 |
| 何をしているか | サービスページのメニュー一覧 | 結婚式当日の記録撮影、挙式の同行撮影、前撮りの三つを承っています。 |
| どこで受けているか(オンラインのみか) | サービスページ、プロフィールの対応エリア | 福岡市と北九州市が中心で、ほかの地域は交通費を別にいただきます。オンラインのコンサルタントなら「打ち合わせはすべてオンラインで、地域を問いません」と書けます。 |
| 料金の目安 | サービスページの料金帯 | 挙式の同行撮影は 2 時間 5 万円から。料金表の全体はページ下部にあります。 |
| 誰に向いているか、向いていないか | サービスページの「こんな方に」の段落 | 50 人以下で、ポーズを決めない自然な写真を残したい式に向いています。カメラ 3 台以上の大きな撮影チームが必要な場合は、ほかの方をおすすめします。 |
| どんな実績があるか | 制作実績の説明、お客様の声、第三者が書いた記事 | 屋外での挙式の撮影例です。新郎新婦が家族とのやりとりを残したいと希望されたので、ポーズを決めるカットは一枚も撮っていません。 |
| どう連絡するか | 各ページのフッター、プロフィール | フォームか LINE でご予約ください。2 営業日以内に返信します。 |
AI に言及されることと引用されることは別の話です。ここはよく混同されます。言及は AI が回答の中で名前を挙げること、引用は AI が自分のページを情報源として示すことを指します。表の内容を書いておけば引用されうる中身はページにそろいますが、必ず引用されると保証できる人はいません。
一ページで伝わるサービスページが、ほかのプロフィールの土台になります
個人のサイトには、作品の写真とキャッチコピーが一行あるだけ、という形がよくあります。作風は伝わります。でも文字の情報はほとんどありません。検索の AI 機能を解説した Google のページでも、「重要なコンテンツはテキスト形式で提示します」が SEO の基本の一つに挙がっています(Google「AI 機能とウェブサイト」)。サービスページには、少なくとも次のことを書きます。
- 冒頭の 2〜3 文:誰が、何を、どこで、誰に向けて提供しているか。この部分だけを読んでも意味が通るようにします。
- サービス一覧:サービスごとに、何をするのか、何が含まれるのかを一文で書きます。
- 地域かオンラインか:実際に出向く市区町村を書くか、オンラインのみと明記します。
- 料金の目安:料金表をすべて出したくない場合も、最低料金かよくある価格帯は書いておきます。
- 向いているお客様:いちばん得意な相手と、向いていないケースの両方を書きます。
- 予約の方法と、返信までにかかる日数。
いちばん抜けやすいのは「向いていないケース」です。それでも書く価値があります。お客様が自分に合うかどうかを早く判断できますし、具体的な質問に対応する一文がページに一つ増えます。
制作実績には一件ずつ文章を添えないと、お客様の要望が伝わりません
画像を理解するとき、Google は代替テキスト(画像を表示できないときに出る説明文)に加えて、コンピュータ ビジョンのアルゴリズムとページのコンテンツも使うと説明しています。画像は関連するテキストの近くに置くよう勧めてもいます(Google「画像の SEO ベスト プラクティス」)。写真を見れば結婚式なのかウェブサイトの画面なのかはわかっても、お客様がどんな人で、何に困っていて、それをどう解決したかは、文章にしないと伝わりません。生成 AI 検索の説明では、AI システムはさまざまなソースを確認するので、独自の視点が役に立つとされています。例に挙がっているのは、個人的な経験に基づく体験談です(Google「Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する」)。制作の過程はほかの誰にも書けない自分の体験なので、一件につき 3〜5 文で次のことを書きます。
- お客様の種類:たとえば「開業したばかりの小さなカフェ」。公開の許可がなければ名前は書きません。
- お客様の要望:何を解決したかったのか。
- 自分がしたこと:どんな方法で、どの部分を担当したのか。
- 結果:お客様の感想や、成果物がその後どう使われたか。実際にあったことだけを書きます。
- 画像の代替テキスト:写っている内容を一文で説明し、ファイル名のままにしません。
業界でよく使われるサービスのプロフィールは、すべて埋めて説明をそろえます
お客様が最初に見るのは、自分のサイトとは限りません。たとえばデザイナーなら Behance、コンサルタントなら LinkedIn、エンジニアなら GitHub、家庭教師やトレーナーならマッチングサービスで仕事を受けることがよくあります。サービス名は例として挙げました。どのサービスが AI によく読まれているかは、どの会社も公表していません。当社にもわかりません。お客様が実際に見に行くサービスを一つか二つに絞り、プロフィールを整えます。守るのは次の三点です。
- 名前をサイトと同じにします。こちらは本名、あちらはニックネーム、という状態にしません。
- 自己紹介では、誰で何をしていてどこで活動しているかを、サイトと同じ言い方で書きます。
- サイトのサービスページへのリンクを載せ、プロフィールを見た人が詳しい情報にたどり着けるようにします。
Google ビジネス プロフィールも候補です。ただ、先に条件を確認してください。ガイドラインによると、作成できるのは、お客様が訪れることのできる実在の店舗や拠点があるビジネスか、お客様のいる場所に出向くビジネスです。お客様のもとへ出向くタイプは住所を表示せず、自宅を拠点にしている場合はプロフィールから住所を消すよう求められています(Google に掲載するビジネス情報のガイドライン)。訪問指導の家庭教師、出張トレーニングのトレーナー、現地で撮影するカメラマンは当てはまる可能性があります。オンラインだけで仕事を受け、お客様と会うことがない場合は、どちらの条件にも当てはまりません。
お客様の声は具体的な本物を、許可を取ってから載せます
お客様の声は個人で仕事をする人がいちばん集めやすい実績で、一緒に仕事をしたお客様に 2〜3 文を書いてもらえば用意できます。長い文章は要りません。何を頼んで、何が解決したのかに触れてもらえると理想的です。載せる前に、必ず許可を取ります。名前の出し方も確認します。日本のステマ規制と口コミやお客様の声の扱いは、日本の店舗向けの記事で消費者庁の Q&A をもとに整理しています。
やってはいけないこともあります。割引や特典と引き換えに口コミを頼むのは、その代表です。マップのポリシーは、クチコミの投稿と引き換えにインセンティブを提供する行為を禁止しています。インセンティブの例は、金銭的報酬、割引、無料の商品やサービスなどで、こうしたクチコミは削除されます(マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー)。自分のサイトでお客様の声を構造化データの星評価としてマークアップするのも避けます。レビューされる側が自身のレビューを管理している場合、LocalBusiness などの Organization の構造化データを使うページはスターレビューの対象外だと、Google は明記しています(クチコミ抜粋の構造化データ)。お客様の声は普通の文章で載せれば十分です。
第三者が語る内容も AI の回答に入りうるので、本物の言及を増やします
ブログ、動画、フォーラムのディスカッションなど、ウェブ上で製品やサービスについて語られていることを生成 AI 機能は表示できる、と Google は説明しています。同じ説明の中で、作為的な「言及」を探し回っても実際にはそれほど役に立たないとも書いています(Google「Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する」)。当社の実測でも似た状況が見えました。最初のスキャンで AI に引用された URL を 39 件集めたところ、自社ドメインは一度も入っていませんでした(実例)。一つの事例にすぎません。それでも、自分のサイトだけでは足りないことはわかります。身近なところから始めましょう。
- 協力先のページ:よく組むドレスショップ、式場、印刷会社、コワーキングスペースに、パートナー紹介のページで名前と一言の紹介、リンクを載せてもらえないか相談します。
- 取材や登壇:同業のコミュニティ、ポッドキャスト、学校、地域のメディアの取材を受け、いちばん得意なテーマを話します。
- コミュニティ:業界のグループやフォーラムで質問に丁寧に答え、いつも同じ名前で書き込みます。
- お客様の発信:お客様がブログや SNS で触れてくれたときは、サイトへのリンクを付けてもらえないか丁寧にお願いします。
構造化データは機械に正しく認識してもらうためのもので、推薦は保証されません
構造化データは、ページのソースコードに書く機械向けの目印で、「このページは誰についてのものか」を決まった形式で伝えます。説明によると、Google はウェブ上で見つけた構造化データを使ってページのコンテンツを把握しています(構造化データ マークアップとは)。ただし、生成 AI 検索に構造化データは必要なく、追加すべき特別な schema.org マークアップもない、とも明記されています。それでも使い続けるよう勧めているのは、リッチリザルトの対象になるのに役立つからです(Google「Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する」)。検索エンジンが推測する部分を減らすためのものです。推薦への入場券にはなりません。ほかの AI サービスでの使われ方は、公式の説明が見つかりませんでした。
一人で仕事をしている人に合うのは、プロフィールページに ProfilePage(プロフィール ページ)のマークアップを付け、主役を Person(個人)にする書き方です。使える例には、ブログサイトの自己紹介ページも挙がっています。条件は、ページのメインがサイト全体に関係する一人の個人か一つの組織であることです(プロフィール ページ(ProfilePage)のスキーマ マークアップ)。よく使う項目は次のとおりです。
- name:対外的に使っている名前。必須プロパティです。
- description:自己紹介文。ページに表示されている文章と同じ内容にします。
- image:プロフィール写真の URL。
- sameAs:ほかのサービスのプロフィール URL。schema.org はこの項目を、その対象が誰かをはっきり示す参照ページの URL と定義しています(schema.org Person)。
- jobTitle と knowsAbout:肩書きと得意分野。どちらも schema.org の Person の項目で、Google の ProfilePage の説明には載っていません。
ほかの解説で ProfessionalService という型を見かけたかもしれません。schema.org の現在のページには、地域のビジネス向けのこの汎用的な型は Service と混同されやすいため非推奨になったと書かれています(schema.org ProfessionalService)。新しく書くなら別の型にします。お客様が来る仕事場があるなら、代わりに Google のローカル ビジネスの構造化データを使い、業種にいちばん近いサブタイプを選びます。住所は必須プロパティです(ローカル ビジネス(LocalBusiness)の構造化データ)。
どちらの型でも、中身はページの文章と一致させます。構造化データはページのコンテンツを正確に表していなければならない、というのが Google のガイドラインです(Google 検索上の構造化データ ガイドライン)。書き終えたら、ProfilePage にもローカル ビジネスにも対応している Google のリッチリザルト テストで、誤りがないかを確かめます。
この順番で進めれば一人でも終わります
一度に全部やる必要はありません。
- サービスページの冒頭 2〜3 文を書き、友人に読んで聞かせて、一度で伝わるか確かめます。
- 同じページに、サービス一覧、料金の目安、対応地域かオンラインのみか、予約の方法を加えます。
- 代表的な実績を 5〜10 件選び、それぞれに 3〜5 文の説明を書いて、画像に代替テキストを付けます。
- よく使うサービス一つか二つのプロフィールで、名前、自己紹介、サイトへのリンクをサービスページとそろえます。
- 条件を満たすなら Google ビジネス プロフィールを作ります。自宅を拠点にしている場合は住所を表示しません。
- 一緒に仕事をしたお客様 3 人にお客様の声をお願いし、許可を得てからサービスページに載せます。
- 自分に触れてくれそうな人や団体を 5 つ書き出し、一つずつ相談します。
- プロフィールページに ProfilePage と Person の構造化データを加えてテストします。コードを書けない場合は後回しでかまいません。ここまでの 7 つはコードなしでできます。
- シークレットウィンドウで、自分の名前を含まない質問を AI にいくつかして結果を記録し、あとで同じ質問をもう一度します(やり方は「AIに自分で聞くか、ツールを使うか」を参照)。
よくある質問
サイトがなく、Instagram と LINE公式アカウントしかありません。それでもできますか?
一部はできます。各サービスのプロフィール、お客様の声、第三者の言及は、サイトがなくても進められます。ただ、SNS の投稿は写真が多く文字が少ないことが多く、情報もたくさんの投稿に散らばります。できれば一ページだけの簡単なサイトを作り、サービスページの項目を書いておくと、人にも機械にも、まとまった情報を見つけてもらえる場所ができます。
自宅で仕事をしていますが、Google ビジネス プロフィールは作れますか?
提供の仕方しだいです。Google のガイドラインでは、お客様が訪れることのできる実在の店舗や拠点があるか、お客様のいる場所に出向くビジネスであれば作成できます。自宅を拠点にお客様のところへ出向くなら作成できますが、住所は表示せず、サービス提供地域だけを示します。オンラインだけでお客様と会わないなら、どちらにも当てはまりません。
料金を書くと、ほかと比べられてしまいませんか?
その可能性はあります。ただ、お客様が「予算 10 万円以内の結婚式撮影」のように金額を含めて質問した場合、料金が書かれていないページには、その質問に答える根拠が一つ足りません。料金表を全部出す必要はありません。最低料金かよくある価格帯を書き、どんな場合に追加料金がかかるかを添えておきます。
ここまでやったら、どのくらいで AI に推薦されるようになりますか?
正確な期間は誰にも言えません。必ず推薦されると保証できる人もいません。AI の回答はもともと変わるものです。当社が同じ 14 問をもう一度尋ねたときも、言及率は 1 回目が 31.5%、2 回目が 41.7% でした(計測方法)。決まった質問を定期的に記録し、一回の結果より、ある程度の期間に積み上がった傾向を見るのが現実的です。
ここまでの手順を終えたら、AI がいまサイトを読み取れているかを確かめてみてください。無料クイックスキャンは ChatGPT だけを対象に、登録なしの 1〜2 分ほどでサイトを確認し、ChatGPT に 2 問をその場で聞いた結果を返します。その後は、毎月同じ質問を自分で聞いて記録します。