学習塾が AI に推薦されるには——保護者の聞き方、AI が知りたい情報、生徒募集と契約のルール

    執筆:TriloAI 編集チーム公開:

    保護者が AI に「武蔵小杉で高校受験向けの数学の塾は?」と聞いたとき、塾が候補に入るには、ネット上で見つかり、情報が十分に書かれている必要があります。やることは三つです。科目、学年、指導形態と定員、講師、授業時間、料金と解約・返金、体験授業を公式サイトと Google ビジネス プロフィールに書くこと。塾の名前・住所・電話番号をどこでも同じ表記にすること。そして、生徒募集の広告と契約を特定商取引法と景品表示法に合わせることです。学習塾、家庭教師、語学教室は、期間が 2 か月を超え、金額が 5 万円を超える契約が特定商取引法の「特定継続的役務」にあたり、守るべきルールがあります。書面の交付、クーリング・オフ、誇大広告の禁止などです。

    保護者が AI に聞く質問には、学年、科目、地域、予算が入ります

    次は、保護者や生徒が聞きそうな質問の例です。統計ではありません。右の列は、AI が答えるのに必要な情報です。

    知りたいこと聞き方の例AI が見つけたい情報
    近くを探す「武蔵小杉 中学生 数学 塾 おすすめ」「梅田 社会人 夜の英会話」地域、科目、学年や対象、時間帯
    受験対策「中 2 の冬から高校受験の塾に通っても間に合う?」対象学年、カリキュラム、開講時期
    指導形態を比べる「1 クラス 10 人以下の英語塾」「個別指導と集団授業はどっちがいい?」定員、指導形態
    料金を比べる「中 3 数学 月謝 いくら 教材費は別?」月謝、入塾金、教材費、講習費
    不安なこと「入塾して 2 か月で辞めたらいくら返ってくる?」「塾は途中で解約できる?」中途解約と返金のルール
    特別な希望「体験授業がある子ども向けプログラミング教室」「土曜午前のピアノのグループレッスン」体験授業の有無、週末の時間割

    「近く」という言葉は、AI が地域名に置き換えることがあります。OpenAI のヘルプには、「近くにあるおすすめのレストランは?」と聞かれた ChatGPT が、IP アドレスから推定したおおよその位置をもとに、質問を「サンフランシスコ 人気レストラン」という検索クエリに書き換える例が載っています(OpenAI ヘルプ「ChatGPT でウェブを検索する」)。公式サイトには「地域密着」とだけ書かずに、市区町村名、最寄り駅、近くの学校の名前まで書いておきます。

    AI が推薦するには、少なくともこの 8 つの情報が必要です

    AI が知りたいこと載せる場所書き方
    科目と学年公式サイトのコース紹介、ビジネス プロフィールのサービス学年と科目ごとに一段落ずつ書く。「全教科対応」だけで済ませない
    指導形態と定員公式サイト、募集要項1 クラスの最大人数、個別指導か少人数か集団か
    講師公式サイトの講師紹介名前、経歴、担当科目
    授業時間公式サイトの時間割、ビジネス プロフィールクラスごとの曜日、時間、開講日
    料金と返金公式サイト、募集要項、契約書面入塾金、月謝、教材費、講習費を分けて書き、総額も示す。中途解約と返金のルールも書く
    体験授業公式サイト、ビジネス プロフィールのサービスの説明有無、回数、料金、予約方法
    所在地とアクセスビジネス プロフィール、公式サイトのフッター住所の表記をそろえ、最寄り駅や近くの学校からの距離を書く
    運営者の情報公式サイトのフッター、募集要項運営会社名、住所、電話番号、法人なら代表者名

    特定商取引法の対象になる契約では、契約の前に「概要書面」を渡すことになっています。そこには事業者の名称・住所・電話番号、サービスの内容、料金などの概算額、支払時期と方法、提供期間、クーリング・オフや中途解約に関する事項などを書きます(特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」)。公式サイトの説明も、この書面と同じ内容にします。そうすれば、保護者にも AI にも食い違いのない情報が届きます。

    ビジネス プロフィールの名前は看板どおりにし、宣伝文句を足しません

    Google によると、ローカル検索結果は主に関連性、距離、知名度で決まり、情報が充実して正確なほど表示される可能性が高くなります。ランキングを上げるための依頼や金銭は受け付けていません(ローカル検索結果のランキングを改善するヒント)。塾が気をつけたい項目は次のとおりです。

    • 名前:看板やビジネスレターなどで一貫して使っている名前にします。宣伝文句、サービスの情報、所在地の説明などを足すと、ビジネス プロフィールが停止される場合があります。Google のガイドラインには、「神田駅前の ABC スポーツジム」は不可、「ABC スポーツジム神田」は可、という例があります(ビジネス情報のガイドライン)。塾も「〇〇駅前の」「合格実績多数」などは名前に入れません。
    • カテゴリ:選んだカテゴリはローカル検索結果の順位に影響するので、いちばん具体的なものを選びます。独自の業種は作れません(業種を管理する)。
    • 営業時間:同じガイドラインは、レッスンなどで日によって時間が変わるビジネスや完全予約制のビジネスについて、営業時間を指定しないよう求めています。受付時間が決まっているなら、受付時間を入力します。
    • サービス:学年と科目ごとに 1 項目ずつ登録し、価格は価格の欄に入れます。カスタム サービスの名前に価格や電話番号を入れると不承認になります(サービスを管理する)。
    • ビジネスの説明:科目、学年、指導形態、地域を書きます。全角 375 文字(半角 750 文字)以下で、URL は入れず、キャンペーンや料金ではなく塾そのものの説明を中心にします(ビジネス プロフィールを編集する)。
    • 家庭教師:教室を持たず生徒の家で教える場合は、非店舗型ビジネスとしてサービス提供地域を指定し、住所は非表示にします。

    Google は、AI による概要に出るための特別な最適化は要らないとしたうえで、ビジネス プロフィールの情報を最新にしておくよう勧めています(AI 機能とウェブサイト)。項目ごとの入力方法はGoogle ビジネス プロフィールのチェックリストにまとめています。家庭教師の紹介サイトや地域のコミュニティが AI の推薦に影響するかどうかは、公式に説明されていません。使っている場合は、公式サイトと同じ内容にしておきます。

    生徒募集の広告は誇大広告の禁止と景品表示法に沿って書きます

    特定継続的役務にあたる学習塾、家庭教師、語学教室は、広告でサービスの内容や効果などについて、著しく事実に相違する表示や、実際より著しく優良・有利だと誤認させる表示をしてはいけません(特定商取引法第 43 条、e-Gov 法令検索)。これとは別に、景品表示法も、サービスの内容を実際より著しく優良に見せる表示(優良誤認)や、料金などの取引条件を著しく有利に見せる表示(有利誤認)を禁じています。消費者庁は、効果や性能の表示について合理的な根拠を示す資料の提出を求める権限を持っています。出せなければ不当表示とみなされます(消費者庁「表示規制の概要」)。

    うっかりでも対象です。消費者庁は、誤って表示してしまった場合も規制されると説明しています(優良誤認とは)。「合格率 98%」「地域 No.1」と書く前に、分母は誰か、何年度か、どう計算したかを確かめます。示せない数字は書きません。公式サイト、SNS の募集投稿、チラシのどれも、同じ基準で見直します。当てはまるかどうかの判断に迷うときは、消費者庁などの所管の行政機関に確認してください。

    契約と返金のルールは特定商取引法で決まっているので、公式サイトにも同じことを書きます

    特定商取引法は、長期・継続的なサービスで高額の対価を受け取る取引を「特定継続的役務提供」として規制しています。現在指定されているのは、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の 7 つです。学習塾、家庭教師、語学教室は、期間が 2 か月を超え、金額が 5 万円を超える契約が対象で、金額には入学金、受講料、教材費、関連商品の販売なども含まれます。店頭での契約も対象です(特定商取引法ガイド、2026-10-16 確認)。サイトの書き方に関わるルールは次のとおりです。

    ルール内容
    書面の交付(第 42 条)契約の前に概要書面を、契約の後すぐに契約書面を渡す。どちらにも料金、提供期間、クーリング・オフ、中途解約に関する事項などを書く
    クーリング・オフ(第 48 条)法律で決められた書面を受け取った日から数えて 8 日以内なら、書面または電磁的記録で契約を解除できる。教材などの関連商品も含む
    中途解約(第 49 条)クーリング・オフ期間を過ぎても将来に向かって解約でき、事業者が請求できる額に上限がある
    学習塾の上限開始前は 1 万 1000 円。開始後は、受けた授業の対価に、2 万円または 1 か月分の授業料相当額のいずれか低い額を足した額
    家庭教師の上限開始前は 2 万円。開始後は、受けた授業の対価に、5 万円または 1 か月分の授業料相当額のいずれか低い額を足した額
    語学教室の上限開始前は 1 万 5000 円。開始後は、受けた授業の対価に、5 万円または契約残額の 20% のいずれか低い額を足した額

    「入塾後の返金には一切応じません」は、このルールと食い違います。公式サイトにも募集要項にも契約書にも載せないでください。サイトに書く解約・返金の説明は、契約書面と同じ内容にします。

    生徒の写真や名前は個人情報なので、広告に使う前に保護者の同意を取ります

    個人情報保護法では、氏名などの記述によって特定の個人を識別できる情報が個人情報にあたります(第 2 条、e-Gov 法令検索)。生徒の氏名と学校名、顔がわかる授業の写真、合格者の名前の掲示も含まれることがあります。また、あらかじめ本人の同意を得ずに、特定した利用目的の範囲を超えて個人情報を扱ってはいけません(第 18 条)。入塾手続きで示した利用目的に広告での利用が入っていなければ、同意が必要です。

    子どもの同意には目安があります。個人情報保護委員会は、一般的には 12 歳から 15 歳までの年齢以下の子どもについて、法定代理人等から同意を得る必要があると考えられるとしています(個人情報保護委員会 Q&A の Q1-62)。宣伝に使うなら、保護者の同意をもらいます。当社としては、同意書を入塾の申込書と分けること、保護者から取り下げを求められたらすぐ応じる運用にしておくことを勧めます。公式サイトやビジネス プロフィールの写真は、誰もいない教室や後ろ姿でも十分です。個別のケースは、個人情報保護委員会や弁護士に確認してください。

    クチコミは保護者全員に同じ方法でお願いし、教室でその場で書かせません

    Google マップのポリシーでは、塾が次のことをするのは認められていません。

    • 割引やプレゼントと引き換えにする。たとえば「星 5 で教材プレゼント」「クチコミを書いたら次の講習を 1 割引」。
    • 否定的なクチコミを妨げる。成績が上がった生徒の保護者だけに頼む。
    • 生徒に教室でその場で書かせる。「数学が 30 点上がった」など書く内容を指定する。
    • 講師や受付のスタッフに、クチコミの件数を集めさせる。
    • 講師、スタッフ、家族に書いてもらう。こうした利益相反に基づくクチコミは削除されます。

    できるのは、すべての保護者に同じ方法でお願いすることです。たとえば学期末のお知らせに、毎回クチコミのリンクか QR コードを載せます(クチコミを増やすためのヒント)。返信では生徒の名前や成績に触れません。クチコミ投稿者の個人情報を公開しないよう、Google も求めています。インフルエンサーや保護者への投稿依頼にはステルスマーケティング規制も関わるので、日本のお店が AI に推薦されるための整え方もあわせて確認してください。

    このリストで情報をそろえ、まず契約と書面から確認します

    1. 自塾の契約が特定継続的役務にあたるか(期間 2 か月超・金額 5 万円超)を確かめ、概要書面と契約書面の記載を見直します。
    2. 公式サイトのフッターと募集ページに、運営会社名、住所、電話番号を載せます。
    3. 学年と科目ごとに一段落ずつ、向いている生徒、時間、定員、期間、料金を書きます。
    4. 講師紹介ページに名前と経歴、担当科目を書きます。
    5. 料金と中途解約・返金のルールを、契約書面、募集要項、公式サイトでそろえます。
    6. 体験授業の有無、回数、料金、予約方法をはっきり書きます。
    7. ビジネス プロフィールを整えます。名前は看板どおり、カテゴリはいちばん具体的なもの、サービスは学年と科目ごとに登録します。
    8. サイトやチラシの合格実績、「No.1」「必ず」などの表示を見直し、数字ごとに根拠を言えるようにします。
    9. 生徒の写真や名前は保護者の同意書を別に取り、クチコミは学期ごとに同じメッセージで全保護者にお願いします。
    10. サイトの制作会社に、robots.txt で OAI-SearchBot をブロックしていないか確認してもらいます。OpenAI によると、ブロックしたサイトは ChatGPT の検索の回答に表示されません。ナビゲーション用のリンクとしてなら出ることはあります(OpenAI のクローラー説明、英語)。詳しくはGEO 技術チェックリストにあります。
    11. 月に 1 回、シークレット ウィンドウで塾名を含まない質問をして、言及されたかと引用されたかを分けて記録します。やり方はAI の「近くのおすすめ」にお店が載るにはで説明しています。

    よくある質問

    個人で家庭教師をしています。同じことをする必要がありますか?

    必要です。何を、誰に、どの地域で、いくらで教えるのか。AI に伝えるべきことは塾と同じです。家庭教師も、期間が 2 か月を超え金額が 5 万円を超える契約は特定継続的役務にあたり、書面の交付、クーリング・オフ、中途解約のルールがかかります。生徒の家で教える場合、ビジネス プロフィールは非店舗型ビジネスにできます。そのほかの進め方はフリーランス・個人事業主が AI に推薦されるにはをご覧ください。

    募集の投稿に「合格率 95%」と書いてもいいですか?

    数字を載せること自体は禁じられていません。ただ、特定商取引法第 43 条は誇大広告を、景品表示法は実際より著しく優良に見せる表示を禁じており、消費者庁は表示の根拠となる資料の提出を求める権限を持っています。分母、年度、計算方法を確かめて投稿にも書き、根拠を示せないなら載せないでください。個別の判断は消費者庁などに確認してください。

    夏期講習だけの申し込みにも、特定商取引法のルールはかかりますか?

    学習塾が特定継続的役務にあたるのは、期間が 2 か月を超え、金額が 5 万円を超える契約です。金額には入学金や教材費なども含めて数えます。2 か月以内の講習だけの契約なら、この要件には当てはまりません。また、浪人生だけを対象にしたコースは対象外とされています。講習と通常授業をまとめて契約する場合など、判断に迷うときは所管の行政機関に確認してください。

    ChatGPT に聞くたびに、推薦される塾が違うのはなぜですか?

    AI の回答はもともと変わるものです。当社が同じ 14 問をもう一度聞いたところ、言及率は 31.5% と 41.7% に分かれました(可視性の算出方法)。OpenAI も、検索結果や引用は不完全だったり古かったりすることがあると書いています。毎月同じ質問で記録し、1 回の結果ではなく傾向で見てください。

    次の一歩として、まず運営者の情報、コース、講師、料金と解約のルールを公式サイトに書き、その内容に合わせてビジネス プロフィールを直してください。予算をかけられない場合は、予算ゼロで始める GEOのやり方で毎週少しずつ進められます。ChatGPT が公式サイトを読み取れているかを知りたい場合は、無料クイックスキャンを使えば、登録不要・約 1〜2 分でサイトをチェックし、ChatGPT で 2 問をリアルタイムに実測できます。対象は ChatGPT のみです。